国や業界機関は「2023年度末までに4週8閉所の実現」を目標に掲げていますが、週2日の閉所ができている現場が増えた実感はない施工管理も多いのではないでしょうか。
そこで、日本建設業連合会が公表している最新データをもとに実態を調査。2021年度に4週8閉所ができていた現場はどのくらいあるのかと、ここ数年で4週8閉所の現場がどのくらい増えたのかをまとめました。
4週8閉所以上の現場は約4割
日本建設業連合会が行った最新の調査によると、調査対象とした請負金が1億円以上または工期が4ヵ月以上である15,244現場(※)のうち、4週8閉所を実現していたのは38%でした。
「4週8閉所の実現は難しい」といった声をしばしば耳にしますが、工期設定や作業効率化などの取り組みが実を結び、閉所数を確保できている現場も約4割存在していることがわかりました。
※請負金と工期のほか、次の2つの条件を満たす現場が対象。(1)日本建設業連合会会員企業の現場(2)労働基準法第33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)の適用を受けていない現場
参考:日本建設業連合会「週休二日実現行動計画 2021年度通期フォローアップ報告書(PDF)」
とはいえ、依然として週に1回程度しか休めない4週4閉所以下の現場も15%残っている結果となりました。
調査対象となった企業からは「4週8閉所については、発注者・技能労働者の理解不足や施工上の制約など、数多くの問題点が解消されない限り、企業努力による実施率の向上には限界がある」という意見も。
日本建設業連合会は「2023年度末までに4週8閉所の実現」を目標に掲げていますが、リミットはあと2年。達成は現実的に厳しく、大きな壁が立ちはだかっていると言わざるを得ない状況です。
建築・土木で閉所状況に違いはある?
以前セコカンプラスが行った休日数に関する調査では、建築よりも土木のほうがわずかに休日数は多いという結果になりましたが、閉所状況にはどのような違いがあるのでしょうか。
建築と土木の2021年度の閉所状況を比べたところ、土木のほうが4週8閉所以上の割合は高く、22ポイントの差が生まれていることがわかりました。
4週8閉所以上の現場が建築は28%だったのに対し、土木は半数の50%を占めているという結果になっています。
参考:日本建設業連合会「週休二日実現行動計画 2021年度通期フォローアップ報告書(PDF)」
この差が生まれている理由のひとつとして、建築と土木の主な発注者の違いが挙げられます。
土木は4週8閉所を推進している国土交通省などが発注者となる工事が中心のため、週5日の稼働を前提とした工期設定ができるのが基本です。
一方で、建築は4週8閉所への理解が進みづらい民間企業が発注者となる工事が中心。現場から「いまだに工期設定が土曜作業ありき」との意見(※)が出ているとおり、現在もハードな働き方を強いられることが珍しくありません。
※日本建設産業職員労働組合協議会「2021年建築作業書アンケート(PDF)」より
2021年度の閉所状況を過去と比べると?
2021年度に4週8閉所が実現しているのは建築で28%、土木で50%という結果になりましたが、過去と比べるとどのくらい改善しているのでしょうか。
建築・土木それぞれについて、調査開始時の2018年度上半期と2021年度のデータを比べてみました。
要点まとめ
- 4週8閉所の現場は建築で9ポイント、土木で22ポイント増加
- 4週4閉所以下の現場は建築・土木ともに7ポイント減少
建築|閉所状況の比較
2021年度の建築工事における閉所状況を2018年度上半期と比べると、4週8閉所以上の現場の割合は9ポイント増加していることがわかりました。
また、4週4閉所以下の現場は7ポイント減少。土木より遅れを取っている状況ではありますが、着実に改善している様子が見てとれます。
参考:日本建設業連合会「週休二日実現行動計画 2021年度通期フォローアップ報告書(PDF)」「週休二日実現行動計画 2018年度上半期フォローアップ報告書(PDF)」
土木|閉所状況の比較
2021年度の土木工事における閉所状況を2018年度上半期と比べると、4週8閉所以上の現場の割合は22ポイント増加。2018年度上半期の時点で、4週8閉所以上の割合は2021年度の建築工事と同水準になっていましたが、約4年間でさらに改善していることがわかります。
また、4週4閉所以下・5閉所・6閉所の現場の割合はそれぞれ5~10ポイント減少しており、全体として閉所数が増えている傾向となっています。
参考:日本建設業連合会「週休二日実現行動計画 2021年度通期フォローアップ報告書(PDF)」「週休二日実現行動計画 2018年度上半期フォローアップ報告書(PDF)」
実際のところ、施工管理はどのくらい休めてる?
(セコカンプラス編集部)