前任者の退職や死亡などによって、監理技術者・主任技術者の変更が必要になった場合、工期の途中でも変更することは可能なのでしょうか?
この記事では、配置技術者の変更が可能なケースと、手続き方法について解説します。
なお、監理技術者資格者証の内容を変更したい場合、下記の記事を参照してください。
監理技術者資格者証の内容を変更する方法は?
監理技術者・主任技術者は、途中で変更できる?
国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルによると、やむを得ない事情がある場合、工期の途中であっても監理技術者・主任技術者の変更は可能とされています。
下記の変更が認められる4つのケースに当てはまるかどうか、チェックしてみましょう。
監理技術者・主任技術者が変更できるケース
- 死亡・傷病・出産・育児・介護・退職など、やむを得ない事情がある場合
- 工事の中止または工事内容の大幅な変更により、工期が延長された場合
(変更の責任が、受注者側に無い場合に限る)
- 橋梁・ポンプ・エレベーター・発電機など、工場での製作を含む工事において、工場から現地へ工事の現場が移行する場合
(工場から現地に移行するタイミングで、配置技術者の変更が可能)
- 一つの契約の工期が、複数年にまたがる場合
参考:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」
なお、発注者によっては上記と条件が異なることもあるため、契約書類なども確認しておくと安心でしょう。
また、上記とは別に、工事途中で請負代金が一定額を超えた場合は、当初配置していた主任技術者から監理技術者への変更が必要となります。
変更のタイミングなどは、協議して決定する
配置技術者を変更する際は、発注者・受注者の間で協議を行うのが一般的です。
協議書を提出して変更の申請を行い、交代時期の調整や後任者の情報共有などを行います。交代時期は原則、工程が一区切りしたタイミングとなりますが、前任者が突然退職した場合など余裕がない状況では、それも踏まえて発注者と協議を行いましょう。
協議で検討・共有する情報の例
- 交代時期を決定する
(工程が一区切りする時点で交代することが一般的)
- 前任者と後任者の技術力が、同等以上に確保されることを証明する
- 前任者と後任者を一定期間一緒に工事現場に配置し、工事の継続性や業務品質を確保する
- 発注者からの依頼に応じて、配置技術者の役割分担や支援体制などを説明する
参考:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル(PDF)」
配置技術者の変更に必要な書類(見本つき)
ここからは、監理技術者・主任技術者の変更に必要な書類を、見本つきで紹介します。
必要な書類は発注者ごとに異なりますが、ここでは求められる可能性が高い書類を3種類紹介していきます。
配置技術者の変更に必要な書類の例
1. 協議書
協議書は、配置技術者を変更したい旨を発注者に伝え、協議を開始するための書類です。
専用のフォーマットを用意している場合もあれば、さまざまな協議・申し入れに使う共通のフォーマットを流用して提出する場合もあります。
一般的に、変更前後の配置技術者の氏名や変更する理由などを記入して、発注者に提出します。
参考:富士市「指示、承諾、協議、提出、報告書(PDF)」
2. 変更理由の事実確認ができる書類
申告した配置技術者の変更理由について、変更が認められるケースに該当することを証明するために、変更理由に対応した書類の提出を求められる場合があります。
主要な変更理由に対応する証明書類は、下記のとおりです。
1. やむを得ない事情がある場合
変更理由 | 求められる書類 |
---|---|
死亡 | (不要) |
傷病 |
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妊娠出産 |
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育児 介護 退職 転勤 |
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2. 工期が延長された場合
変更理由 | 求められる書類 |
---|---|
工期の延長 (変更の責任が、受注者側に無い場合に限る) |
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3. 工場での製作を含む工事において、工場から現地へ工事の現場が移行する場合
変更理由 | 求められる書類 |
---|---|
工場での製作を含む工事において、工場から現地へ工事の現場が移行する |
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4. 一つの契約の工期が、複数年にまたがる場合
一つの契約の工期が、複数年にまたがる |
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---|---|
変更理由 | 求められる書類 |
3. 監理技術者・主任技術者の変更通知書
変更通知書は、協議の結果、監理技術者・主任技術者の変更が認められた場合に提出する書類です。こちらの提出をもって、配置技術者の変更が完了します。
参考:備前市「主任技術者等の変更通知書」
主任技術者から監理技術者への変更が必要なケース
主任技術者が担当できるのは、請負金額が4,500万円未満(建築一式工事の場合は7,000万円未満)の工事です。そのため、工事の途中で請負代金が一定額を超えたケースでは、工事の開始時に主任技術者を設置していた工事であっても監理技術者への変更が必要となります。
主任技術者から監理技術者への変更が必要な金額
- 下請契約の請負代金が4,500万円以上
(建築一式工事の場合は7,000万円以上)
大幅な工事内容の変更などが生じた際は注意しましょう。
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