1級建築施工管理技士の直近5年間の合格率をまとめました。
最新の試験内容と合格基準、難関問題の「経験記述」を乗り越えるコツも解説しています。
1級建築施工管理技士の合格率
1級建築施工管理技士の直近5年間の合格率を調査したところ、第一次検定(学科試験)の合格率は平均42.7%、第二次検定(実地試験)の合格率は平均44.0%でした(※)。
※2021年度の技術検定から、試験の名称が学科試験は第一次検定、実地試験は第二次検定に変更されました。
ここからは、第一次検定と第二次検定それぞれの合格率について、くわしくみていきましょう。
第一次検定
1級建築施工管理技士・第一次検定の直近5年間の受験者数と合格者数、合格率のデータをまとめました。
受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2018年度 | 25,198人 | 9,229人 | 36.6% |
2019年度 | 25,392人 | 10,837人 | 42.7% |
2020年度 | 22,742人 | 11,619人 | 51.1% |
2021年度 | 22,277人 | 8,025人 | 36.0% |
2022年度 | 27,253人 | 12,755人 | 46.8% |
直近5年間の合格率は、30%台~50%台前半を推移しており、5年間の平均合格率は42.7%でした。
2022年度は、受検者数が27,253人に対して合格者数は12,755人で、合格率は46.8%。直近5年間では2番目に高い合格率となりました。
第二次検定
1級建築施工管理技士・第二次検定の直近5年間の受検者数・合格者数と合格率のデータをまとめました。
受検者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
2018年度 | 15,145人 | 5,619人 | 37.1% |
2019年度 | 15,876人 | 7,378人 | 46.5% |
2020年度 | 16,946人 | 6,898人 | 40.7% |
2021年度 | 12,813人 | 6,708人 | 52.4% |
2022年度 | 13,010人 | 5,878人 | 45.2% |
直近5年間の合格率は30%台後半~50%台前半を推移しており、5年間の平均合格率は44.0%でした。
2022年度は、受検者数が13,010人に対して合格者数は5,878人で、合格率は45.2%。直近5年間の平均と同程度の合格率となりました。
1級建築施工管理技士の試験内容・合格基準
第一次検定
1級建築施工管理技士・第一次検定はマークシート形式。建築学等・施工管理法(知識・能力)・法規の科目から出題されます。
2022年度の出題数は72問で、そのうち解答する必要があるのは60問。各問題1点の60点満点で、合格基準は36問以上(得点60%以上)の正解かつ、施工管理法の応用能力に関する問題で6問中4問以上の正解でした。
第一次検定の科目と解答形式
検定科目 | 解答形式 |
---|---|
建築学等 | 四肢一択 |
施工管理法(知識) | 四肢一択 |
施工管理法(能力) | 五肢一択 |
法規 | 四肢一択 |
1級建築施工管理技士の第一次検定は、出題範囲が広いのが特徴のひとつです。細かな表現や数値の正誤まで判断しなければならないので、これまでの経験で身についた知識だけでは太刀打ちできない問題も少なくありません。
効果的な勉強法は、過去問を繰り返し解くこと。出題パターンを網羅するために7年分以上の過去問を用意して、間違えた問題を繰り返し解いておけば細かな知識も身につきます。
すべての分野で8割以上を取るのが理想ですが、苦手な分野がある人は、その分得意分野で確実に点を取れるよう勉強しておけば問題ないでしょう。
第二次検定
1級建築施工管理技士・第二次検定は、マークシート形式と記述形式の両方。施工管理法の知識・能力に関する問題が出題されます。
2022年度はマークシート形式の問題が14問で、記述形式の問題が大問で4つ。配点は公開されておらず、合格基準は得点60%以上でした。
第二次検定の科目と解答形式
科目 | 解答形式 |
---|---|
施工管理法(知識) | 五肢一択 |
施工管理法(能力) | 記述 |
第二次検定は記述形式の内容も多いため、知識とともに文章力も問われるのが難しいところ。独学で勉強するだけではなく、上司に確認してもらったり添削サービスを利用したりして、伝わりやすい書き方を身につけておくのも大切です。
これまでとまったく同じ問題が出るケースはまれですが、出題テーマや回答は参考になるので、数年分の過去問を繰り返し解くのが効果的でしょう。
また、試験時間は3時間と長丁場のため、集中力を保てるかどうかも大きなポイント。はじめのうちに頭を使う問題を解いておき、後半は得意な問題をサクサク解いていくようにするのが時間をうまく使うコツです。
最大難関は第二次検定の「経験記述」
1級建築施工管理技士の数ある問題のなかで、最難関といわれているのが、第二次検定の1問目にある経験記述と呼ばれる問題です。
経験記述は自分が実際に経験した工事の工事名・工事場所・工事の内容・工期・あなたの立場・業務内容の6項目を具体的に書く必要があるため、工事の詳細を覚えていなければ回答すらできない問題。配点がもっとも高く、この問題でどれだけ点数を取れるかが合格を左右するといっても過言ではありません。
なお、つづく問題でさらに細かな内容を書く必要があるので、ウソの経験を書いてごまかすのは難しく、参考書を丸写しすれば失格の対象となってしまいます。
【参考】経験記述の過去問題
あなたが経験した建築工事のうち、要求された品質を確保したうえで行った施工の合理化の中から、労働生産性の向上に繋がる現場作業の軽減を図った工事を1つ選び、工事概要を具体的に記述したうえで、次の1及び2の問いに答えなさい。
(2022年度 1級建築施工管理技士 第二次検定)
あなたが経験した建築工事のうち、発注者及び設計図書等により要求された品質を確保するため、重点的に品質管理を行った工事を1つ選び、工事概要を具体的に記述したうえで、次の1及び2の問いに答えなさい。
(2021年度 1級建築施工管理技士 第二次検定)
出典:建設業振興基金「過去の試験問題・合格基準」
対策方法は、事前に回答を考えておくこと。出題テーマは品質管理・建設副産物・施工の合理化から1つ選ばれるのが基本のため、あらかじめ準備しておくのが得策でしょう。
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(セコカンプラス編集部)