【記入例つき】建設業の実務経験年数の数え方

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主任技術者や監理技術者などに必要な実務経験。「10年以上の実務経験」などが指定されていても、数え方が発注者ごとに違ったり、その指示内容もわかりにくかったりと、混乱することも少なくありません。

この記事では、実務経験証明書に記入する実務経験の数え方を紹介します。

実務経験として数えられるもの

実務経験は、許可を受けようとする建設業での実務かつ、建設工事の施工に直接関わる経験であれば、すべて実務経験期間としてカウントできます。

一方で、建設業者に所属していても、営業や事務などの建設工事に関係のないものは実務経験期間に含まれないので注意してください。

数え方の代表例(3パターン)

実務経験の期間をどのように数えるかは、発注者によって異なります。実際に経験した期間を合算する方法のほか、空白期間を無視して記入する方法などさまざまです。

この記事では、実務経験の数え方のうち、代表的な3パターンを紹介します。

実務経験の数え方の、代表的な3パターン

  1. 実際に経験した期間を計算する
  2. 1年単位で計算する
  3. 空白期間も合計に含めて計算する

なお実際の実務経験の数え方は、契約書類や、発注者のホームページ(記入例の紹介ページ)などで指定されていることがほとんどです。そちらを確認して、当てはまるパターンの解説を見てみましょう。

〈例〉東京都都市整備局の場合

実務経験証明書の記入例のページに、数え方の記述あり。

実務経験の書き方と合わせて、経験の数え方も指定されている。

出典:東京都都市整備局「建設業許可申請変更の手引(PDF)より

1. 実際に経験した期間を計算する

実際に経験した期間を月単位で記入するパターンです。経験した工事内容を1ヵ月単位で記入し、合計は月単位で算出します。

実務経験期間は重複させない。工事間の空白期間は計算に含めない。

この計算方法のポイントは2点です。

実務経験の期間は重複させない

前の工事の終了月と、次の工事の開始月は重複させないようにしてください。実際には重複していても、どちらかの月を繰り上げ/繰り下げて記入しましょう。

【NG例】終了月・開始月ともに、同じ月になっている
前の工事期間:平成20年4月~20年6月
次の工事期間:平成20年6月~20年12月

【OK例】開始月を1ヵ月繰り下げ、重複しないようにしている
前の工事期間:平成20年4月~20年6月
次の工事期間:平成20年7月~20年12月

空白期間は計算に含めない

工事と工事の間に期間が空いている場合、その期間は実務経験の計算には含めません。「実務経験年数」の各行に記入した期間のみを合算して、合計年数を算出しましょう。

〈工事期間の例〉

  • 工事期間A:平成20年7月~20年12月(6ヵ月)
  • 工事の間の空白期間:1ヵ月
  • 工事期間B:平成21年2月~21年4月(3ヵ月)

【NG例】空白期間まで計算に含めてしまっている
工事期間=平成20年7月~21年4月と考えて……
合計10ヵ月

【OK例】実際に働いた期間だけ合計している
工事期間=AとBの期間だけを合計して……
=期間A(6ヵ月)+期間B(3ヵ月)
合計9ヵ月

2. 1年単位で計算する

1年ごとに期間を区切り、その期の代表的な工事内容を記入するパターンです。実務経験証明書の1行ごとに「代表的な工事の内容+他○○件」といった形で工事内容を記入して、期間を合算します。

記載は1年1行。工事間の空白期間は計算に含めない(たとえば4ヵ月の空白期間があった場合は、実働8ヵ月として計算する)

この計算方法のポイントは1点です。

空白期間は計算に含めない

実務経験年数欄には1年単位で記入しますが、経験期間は空白期間を除いて合計する必要があるので注意。

たとえば、実際は工事と工事の間に4ヵ月の空白期間があった場合、実務経験期間は12ヵ月ではなく8ヵ月とカウントします。

空白期間を差し引いた結果、必要な実務経験年数を満たせなくなった場合は、満たせるように追加で実務経験を記載しなければなりません。たとえば実務経験が4ヵ月足りなかった場合は、最後の行に4ヵ月分の実務経験を追記しましょう。

〈例〉3年の実務経験が必要だが、4ヵ月の空白期間がある場合

  • 工事期間A:平成19年4月~20年3月(12ヵ月)
  • 工事期間B:平成20年4月~21年3月(12ヵ月)
  • 工事期間C:平成21年4月~21年3月(12ヵ月、うち4ヵ月は空白期間)

→4ヵ月分の実務経験を追加して、合計3年以上にする。

  • 工事期間A:平成19年4月~20年3月(12ヵ月)
  • 工事期間B:平成20年4月~21年3月(12ヵ月)
  • 工事期間C:平成21年4月~21年3月(12ヵ月、うち4ヵ月は空白期間)
  • 工事期間D:平成21年4月~21年7月(4ヵ月)

3. 空白期間も合計に含めて計算する

パターン1・2と異なり、工事と工事の間に空白期間があっても、実務経験として合計期間に含めるパターンです。

たとえば、契約書などには「空白期間が12ヵ月以下の場合、連続して実務経験があるとみなす」のように書かれています。この場合、12ヵ月未満の空白期間も働いていたとして、次のように実務経験をカウントします。

〈例〉平成19年4月~平成24年3月の60ヵ月間で、1ヵ月の空白期間を挟んで働いていた場合

■パターン1、2
実働期間=60ヵ月-空白期間1ヵ月=59ヵ月

■パターン3
実働期間=60ヵ月

※空白期間の1ヵ月は、連続して働いていたとみなす

「2019年4月から2020年3月まで」と「2020年5月から2021年3月まで」の工事間で1ヵ月の空白期間があるものの、12ヵ月以上空いていないため「連続して実務経験がある」とみなす。「2022年4月から2024年3月まで」と「2026年4月から2027年3月まで」の工事間は12ヵ月以上空いているため、空白期間は経験に含めない。

これまでとは計算方法が異なるため、パターン1、2で書くように指定されている実務経験証明書で、パターン3(空白期間も実務経験に含める)の計算をしてしまうと、実務経験が不足してしまう可能性があります

記入する際は、実務経験の数え方が間違っていないか入念に確かめましょう。

(セコカンプラス編集部)

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