【なぜ】受注高は同じでも、売上高は2倍の差|準大手ゼネコン

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受注高と売上高は比例するのが一般的ですが、準大手ゼネコン各社の業績を集計したところ、受注高は同水準でも、売上高の規模が大きく異なるケースがあることがわかりました。

受注高と売上高の差を生み出している要因は、一体何なのでしょうか。

長谷工、前田建設工業は売上高がズバ抜けている

準大手ゼネコン7社の2020年度業績をまとめたところ、各社受注高は3,000~4,000億円が中心なのに対し、売上高は長谷工コーポレーションが8,094億円、前田建設工業が6,781億円と頭ひとつ抜けていることがわかりました。

準大手ゼネコン7社の受注高と売上高(2020年度) 長谷工コーポレーション:受注高 4,303億円・売上高 8,094億円、前田建設工業:受注高 4,119億円・売上高 6,781億円、戸田建設:受注高 4,289億円・売上高 5,071億円、熊谷組:受注高 2,834億円・売上高 4,502億円、三井住友建設:受注高 4,080億円・売上高 4,216億円、安藤ハザマ:受注高 3,009億円・売上高 3,520億円、西松建設:受注高 3,123億円・売上高 3,362億円、準大手7者の平均:受注高 3,679億円・売上高 5,078億円

※フジタは非上場のため除外

受注高が同じく4,000億円台の三井住友建設は売上高が4,216億円なので、売上高が8,094億円の長谷工コーポレーションとは2倍近くの差が開いていることになります。

売上高が高いのは、子会社が稼いでいるから

受注高が同水準でも、企業によって売上高の規模が異なる理由はとてもシンプル。

受注高が単体で計上されるのに対し、売上高は子会社を含めた連結で計上されるため、グループ全体の連結売上高に占める子会社の売上高比率が高いほど、売上高のみが伸びる仕組みとなっています。

それでは、長谷工コーポレーションと前田建設工業はどのような子会社がどの程度売り上げているのでしょうか。

長谷工|不動産・サービス子会社が稼ぐ

長谷工コーポレーションの2020年度連結売上高は、8,094億円でした。このうち子会社の売り上げは2,461億円で、全体の30%を占めています。

長谷工コーポレーションの売上高内訳(2020年度) 長谷工コーポレーション 70%、子会社 30%

長谷工コーポレーション単体と主要子会社の2020年度売上高

企業名 2020年度売上高
長谷工コーポレーション 5,633億円
建設関連事業
不二建設 345億円
ハセック 665億円
フォリス 91億円
細田工務店 140億円
不動産関連事業
長谷工不動産 303億円
総合地所 358億円
サービス関連事業(子会社)
長谷工アネシス 73億円
長谷工コミュニティ 510億円
長谷工コミュニティ九州 25億円
長谷工コミュニティ西日本 10億円
長谷工コミュニティ沖縄 4億円
ジョイント・プロパティ 17億円
センチュリーライフ 36億円
生活科学運営 78億円
ふるさと 21億円
海外関連事業
HASEKO America,Inc 7億円

※長谷工コーポレーションの決算資料をもとに作成。グループ内での計上に調整があるため、総額と全体の売上高は一致しない。

長谷工コーポレーショングループは、建設関連事業の子会社である不二建設やハセックなどが年間数百億を売り上げるほか、不動産関連事業の子会社や修繕・リフォームをはじめとしたサービス関連事業の子会社も売り上げを支える構成に。

売り上げの大部分は長谷工コーポレーションを中心とする建設関連事業が占めていますが、他の事業もグループ全体を支える屋台骨となっていることがわかります。

前田建設工業|子会社が全体の半分近くを稼ぐ

前田建設工業は、さらに売上高に占める子会社の比率が上がります。

前田建設工業の2020年度連結売上高は6,781億円で、そのうち子会社の売上高は3,120億円。全体の46%を子会社が稼いでいることが明らかになりました。

前田建設工業の売上高内訳(2020年度) 前田建設工業 54%、子会社46%

前田建設工業単体と主要子会社の2020年度売上高

企業名 2020年度売上高
前田建設工業 3,661億円
前田道路 2,346億円
前田製作所 313億円
エフビーエス 230億円
フジミ工研 73億円
JM 198億円
愛知道路コンセッション 128億円

※前田建設工業の決算資料をもとに作成。主要子会社のみがピックアップされており、グループ内での計上に調整があるため、総額と全体の売上高は一致しない。

前田建設工業は、2020年3月期にグループ会社の前田道路を連結子会社化。年間2,000億円以上を稼ぐ企業が子会社となったことで売り上げは急増し、受注高と売上高の差が大きく開く結果となりました。

このほか、クレーンや高所作業車などを扱う前田製作所や、建設事業・ビル管理などを行うエフビーエスなどの子会社も売り上げを牽引しています。

まとめ

ここまで解説してきた通り、受注高と売上高の差が開くのは子会社の売上高比率が高いのが理由。

もしイチ企業の規模感を的確に知りたいのであれば、グループ全体の連結売上高ではなく、単体の売上高もチェックしてみるのがおすすめです。

(セコカンプラス編集部)

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