転職活動時に使う工事経歴書は、その名のとおり自分が経験した工事の詳細をまとめる書類です。
この書類の役割は、応募者のスキルの見極め。工事経歴書に書かれている工事の規模や、その工事で経験した業務内容を見ることで、入社後に応募者が活躍できそうかを採用担当者が見極めます。
この記事では、工事経歴書にどんな内容を記入すべきか、見本付きで紹介します。
【見本付き】施工管理の工事経歴書の書き方
工事経歴書は、志望動機や自己PRなどを盛り込む履歴書・職務経歴書とは異なり、自分の経験のみをシンプルにまとめた書類です。
工事経歴書で記入しておきたい内容は、工期、工事の概要、職責(立場)、業務内容・担当業務の4項目。今回は、この4項目を網羅した工事経歴書の見本を用意しました。こちらを例に各項目の書き方を解説します。
見本で使っているテンプレートは、下記からダウンロードできます。
1)工期
工事経歴書は、案件ごとに行を分けて記入します。記入する行を決めたら、まず工期欄にその案件を担当していた期間を記入しましょう。
工期のスタートは、着工のタイミングまたは自分が工事に参加したタイミングを記入しましょう。工期の終わりは、引き渡しが完了したタイミングを記入してください。
注意点
- 工期は「○○○○年○○月」の形式で記入するのが一般的。
- 西暦・和暦どちらでもいいが、書類内で書き方を統一すること。
2)工事の概要
工事の概要欄には、工事の内容や規模感を伝えるための具体的な情報を記入します。
注文者、工事名、請負金額、工法・規模の4種類の情報を書いておきましょう。
注文者
注文者の箇所には、その工事の請負契約の相手方を記入します。
自分が元請の場合は、発注者である企業・団体・施主の名前を書きますが、下請の場合は、発注者ではなく元請の企業名・団体名を記入する必要があるので注意しましょう。
注意点
- 注文者(施主)が個人の場合は、氏名が特定されないように記入する。
例)注文者:個人A氏 ……など
工事名
工事名の箇所には、基本的には請負契約書などに記載されている工事名称を記入しましょう。
なお、工事名がわからない場合は自分で考えて記入する必要があります。
「○○マンション改修工事」「個人A様邸電気工事」のように具体的な工事内容を書いて、どこで・何を行う工事だったのかが読み取れるようにしましょう。
注意点
- 請負契約書などに書かれている工事名が具体的でなく、どこで・何を行う工事なのかが伝わらない場合は、自分で工事名を考えて記入する。
請負金額
担当した案件の請負金額を記入する箇所です。
金額の単位(億円、百万円)や桁数などの指定はありませんが、読みやすさを考慮して書類内では書き方を揃えましょう。
注意点
- 金額は税込み・税抜きどちらでもOK。ただし、書類内では表記を統一する。
- ジョイントベンチャーなど、複数企業で共同出資している場合、自社が負担した金額または自社の出資割合に応じた金額を記入する。
工法・規模
担当案件の概要を伝えるために、工法や規模感を記入する箇所です。
入社後に任せられる案件を判断する目安となる情報なので、具体的な情報を必ず書いておきましょう。
たとえば下記の記入例のように、建築の場合は、建物の工法(RC造、SRC造など)を、土木の場合は現場の面積を記入します。また、電気工事であれば、担当設備の電圧や出力を書くようにしてください。
〈工法・規模の記入例〉
- RC造15階
- SRC造、延床面積1200m2
- 道路工300m2
- 受電設備・6kV
- 発電設備・60KW
3)職責(立場)
担当案件にどんなポジションで関わっていたかを、端的に記入します。
あなたの立場がわかる言葉であれば、表現は自由です。主任技術者・監理技術者・現場代理人といった肩書きのほか、主任・リーダーのような役職を記入しても構いません。
よく使われるものを下記にまとめたので、参考にして記入しましょう。
- 現場代理人
- 現場監督
- 主任技術者
- 監理技術者
- 工事責任者
- リーダー
- 主任
- ○○補佐(工事責任者の補佐、など)
4)業務内容・担当業務
その案件で担当した業務を具体的に記入します。
四大管理のどの業務の経験があるのか、顧客との折衝・引き渡しができるかなど、転職後に任せられる業務の幅を見せるつもりで記入するのがポイントです。
文章形式で書く必要はないので、読みやすさを考慮して箇条書きなどで担当した業務の名称を記入しましょう。
- 着工前の工事説明
- 下請業者の手配業務
- 安全管理
- 工程管理
- 原価管理
- 品質管理
- 引き渡し業務 ……など
職務経歴書との違いは?
職務経歴書も、工事経歴書と同じく工事の経験を記入する書類です。しかし、役割が明確に分かれています。
工事経歴書は、あくまで経験した工事の詳細のみを伝える書類なのに対して、職務経歴書は経験に加えて所持している資格や自己PR(意欲)もアピールする書類です。
一般的な転職活動では、職務経歴書の方がメジャーな書類ですが、施工管理の転職活動においては経験した工事がまとまっている工事経歴書の重要度が高いとされています。
担当した工事の詳細を見ればその人にどんなスキルが備わっているか・どんな現場を任せられるかがわかるため、職務経歴書より工事経歴書を先に見るという採用担当者もいるようです。
工事経歴書を作る際はその役割をふまえ、自分の経験がシンプルに伝わるかという観点で見返すと、実用的なものに仕上がるでしょう。
なお職務経歴書の書き方を知りたい場合は、下記の記事で見本付きで紹介しているので、ぜひ活用してみてください。
(セコカンプラス編集部)