2021年度の有価証券報告書を公表している主要総合デベロッパー9社を対象に、平均年収ランキングを作成しました。
この記事のポイント
- デベロッパー9社の平均年収は1,107万円
- 平均年収トップはヒューリック
- 大幅アップはヒューリックと日鉄興和不動産
デベロッパー9社の平均年収
各社の2021年度の平均年収を集計したところ、今回調査対象としたデベロッパー9社の平均年収は1,107万円でした。
全上場企業の平均年収は600万円前後のため、今回調査したデベロッパーの年収は相場を大きく上回る水準だといえます。なお、受注側であるゼネコンのランキングによると、主要ゼネコン20社の年収相場は891万円でした。デベロッパー9社の平均年収はゼネコン20社の平均年収を200万円以上上回る結果となりました。
9社の内訳を見てみると、1,000万円台が6社、900万円台・800万円台・600万円台がそれぞれ1社となっています。
各社の有価証券報告書をもとに作成。社名に「ホールディングス」が入っている2社はグループ企業の管理を担う持株会社のため、事業に直接関わる総合職をはじめとした社員の年収相場とは異なる可能性があります。
トップはヒューリックの1,803万円
2021年度のトップはヒューリックで、平均年収は1,803万円でした。ヒューリックの平均年収は2012年度の合併時から700万円以上増えており、今回の増加額はデベロッパー9社のなかで最も多い95.1万円となっています。
デベロッパー業界は、コロナ禍によるオフィス関連の収益悪化といったマイナス要因はあるものの、大規模な再開発案件の進行や分譲マンションの価格上昇などプラス要因が穴埋めし、各社堅調に業績を伸ばしている状況。ヒューリックも2021年度の売上高と営業利益は過去最高を更新しており、好調な業績が従業員に還元されて年収増加が続いているのだと考えられます。
ヒューリックに続く2位は三井不動産で平均年収は1,274万円、3位は三菱地所で1,265万円でした。
住友不動産の年収データをくわしく見てみると…
今回調査対象としたデベロッパーのなかで、平均年収ランキング最下位となったのは住友不動産です。住友不動産の売上高は9社中4位と上位ですが、平均年収は667万円で、1位のヒューリックと比べて約3分の1の金額となっています。
ただし、住友不動産の新卒採用ページによると、企画や分譲・賃貸などに直接携わる総合職の平均年収は1,363万円。住友不動産の総合職は全従業員の1割で、従業員の多数を占めているのがリフォーム業に携わる施工管理をはじめとした技術職のため、平均年収が低めになっているのだと考えられます。
日鉄興和不動産も90万円アップ
総合デベロッパー9社のなかで、前年度から年収が上がったのは5社。特に増加額が多かったのは、前述のヒューリックと7位の日鉄興和不動産です。
日鉄興和不動産の平均年収は994万円で、前年度から90.3万円増加しました。業績に目を向けると、2020年度はわずかに売り上げが落ち込んだものの、全体としては右肩上がりに拡大中。2021年度は大型プロジェクトの竣工が重なって不動産販売事業が伸び、増収増益を達成しました。
(セコカンプラス編集部)