主要総合デベロッパー9社が公表している2021年度の有価証券報告書をもとに、デベロッパー売上高ランキングを作成しました。
この記事のポイント
- 売上高トップは三井不動産
- 売上高は、9社すべてで増加傾向
デベロッパー9社の売上高
まずは、デベロッパー9社の2021年度の売上高を一挙に紹介します。
各社の有価証券報告書をもとに作成。
2021年度は、主要デベロッパー9社すべてが前年度比で増収となりました。なかでも三菱地所・野村不動産ホールディングス・ヒューリック・日鉄興和不動産の売上高は、前年度比で10%以上増加しています。
特に売上高が高い企業について、くわしく見ていきましょう。
トップは三井不動産で、2兆円超え
2021年度の売上高ランキングトップは三井不動産で、売上高は前年度比4.6%増の2兆1,009億円でした。
賃貸事業が好調で、オフィスの賃貸収入が増加したほか、前年度に竣工した物件の稼働開始による賃貸収入の発生もあり、増収となっています。また、2021年4月に完全子会社化した株式会社東京ドームの売り上げが新たに計上されたことも増収の一因となりました。
2位の三菱地所は、前年度から10%以上の増収
2位は三菱地所で、売上高は前年度比11.8%増の1兆3,495億円でした。
三菱地所の増収を支えたのは、ビルの開発・賃貸・運用を行うコマーシャル不動産事業の伸び。新規ビルが複数稼働開始したことによる賃料の発生や、既存ビルの賃料増額、オフィスビルなどの売却によって増収となっています。
また、同社が運用する商業施設やホテルの売り上げも好転。前年度はコロナ禍における利用者数の減少や、緊急事態宣言の影響による休館対応で減収となりましたが、2021年度は徐々に影響が少なくなったことから増収に転じました。
デベロッパー各社の営業利益は?
売上高は9社すべてで増加傾向でしたが、営業利益も同じく好調なのでしょうか?
先ほどの売上高ランキングに営業利益を追加したものを見ていきましょう。
各社の有価証券報告書をもとに作成。
2021年度の主要デベロッパーの営業利益は、9社中8社が前年度比で増益となりました。
特に営業利益が高かった企業について、要因を見ていきましょう。
営業利益トップは三菱地所で、前年度比24.3%増益
営業利益が最も高かったのは三菱地所で、前年度比24.3%増の2,790億円。売上高ではトップの三井不動産に1兆円ほど差をつけられていましたが、営業利益では逆転する結果となりました。
三菱地所の好業績を支えたのは、投資マネジメント事業。アメリカのグループ会社において、マネジメント報酬が一時的に増加したことが好調の要因となっています。
またアメリカ・アジア圏における海外事業も堅調です。アメリカではオフィスビルの稼働率上昇や物件の売却収入の増加により増収。アジアではオフィスビルの売却などが増収の要因となりました。
三井不動産・住友不動産も営業利益2,000億円超
三菱地所のほか、2021年度に営業利益が2,000億円を超えていたのは、三井不動産・住友不動産の2社でした。
三井不動産の営業利益は、前年度比20.2%増の2,450億円。海外住宅分譲事業において、投資家への物件売却が好調だったことが増益につながりました。加えて、物件の運営管理を代行するプロパティマネジメント事業も好調で、貸し駐車場の稼働率向上や、個人向け物件の仲介件数・取引単価の向上が、増益の要因となっています。
一方、住友不動産の営業利益は、前年度比6.7%増の2,339億円。不動産賃貸事業において、前年度に竣工した物件の賃料が発生し始めたことや、コロナ禍の影響を受けて自粛していたイベントホールなどの稼働が再開したことにより、業績が上向きました。
また、同社は不動産の売買仲介などを行う不動産流通事業も好調。前年度に緊急事態宣言の影響で自粛していた営業活動を再開したことや、9月に導入した不動産売買の入札サービスの好調を受け、営業利益は過去最高を記録しました。
(セコカンプラス編集部)