建設現場で「週休2日」は実現しているのか|休めない原因は?

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建設現場の閉所状況をまとめた記事では、4週8閉所を実現できている現場は約4割というデータを紹介しました。

日本建設業連合会は4週8閉所の実現を通して、すべての現場で週休2日(※)を定着させることを目指していますが「週に2日休むなんて夢のまた夢……」と感じている方は多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では建設業における休日取得の実態を調査。日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)が公表している資料をもとに、週に2日休めている人の割合と、週休2日の実現に必要なことをまとめました。

※本来週休2日は「1週間のうち2日休める週が、月に1回以上ある状態」を指しますが、日本建設業連合会の定義に合わせ、この記事では毎週2日の休みがある「完全週休2日制」を指す言葉として使用しています。

週に2日休めている人の割合は?

日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)が2021年度に行った調査によると、週休2日の水準となる月間休日数が8日以上の人の割合は建築で49%、土木で59%。建築・土木ともに週に2日休めている人は半数程度だとわかりました。

1ヵ月あたりの休日数は? 建築:4日以下 13%、5日 8%、6日 19%、7日 11%、8日以上 49%/土木:4日以下 6%、5日 5%、6日 18%、7日 11%、8日以上 59%

参考:日本建設産業職員労働組合協議会「2021年建築作業書アンケート(PDF)」「2021年土木作業書アンケート(PDF)

なお、土木のほうが週に2日休めている人の割合が高く、建築を10ポイント上回っていました。また、週休1日程度の水準となる月間休日数が4日以下の割合も、土木は建築を7ポイント下回っています。

週休2日の実現には何が必要?

週に2日休めている人の割合は建築・土木ともに半分程度という結果で、建設現場に週休2日が浸透しているとは言えない状況です。では、週休2日の実現には何が必要なのでしょうか。

日建協が、協会に加盟する企業の現場で働いている人を対象に「週休2日(原則土曜閉所)を実現するために何が必要か」を調査したところ、建築・土木ともに「適正な工期設定での発注」が最も多い結果になりました。

次いで多いのは、建築が「適正な工期での受注」土木が「土曜閉所を考慮した労務単価の設定」。「適正な工期での受注」は土木でも4位にランクインしており、特に工期設定の改善が課題となっていることがわかりました。

週休2日の実現に必要なことは?(上位5項目を抜粋) 1位 建築:適正な工期設定での発注、土木:適正な工期設定での発注/2位 建築:適正な工期での受注、土木:土曜閉所を考慮した労務単価の設定/3位 建築:土曜閉所を考慮した労務単価の設定、土木:週休2日などを定める法律の制定/4位 建築:週休2日などを定める法律の制定、土木:適正な工期での受注/5位 建築:建設業界全体で足並みをそろえる、土木:建設業界全体で足並みをそろえる

参考:日本建設産業職員労働組合協議会「2021年建築作業書アンケート(PDF)」「2021年土木作業書アンケート(PDF)

働く人の生の声|週に2日休めない理由は?

同じく日建協の調査では、週休2日(原則土曜閉所)の実現が難しいと感じている方からの声も寄せられました。なかでも、特に多かった工期設定労務単価に関する生の声を紹介します。

工期設定に関する不満

民間工事はいまだに週6勤務を前提とした工期設定を行っているうえ、発注が遅れても竣工日が変わらないため国からの徹底した指導が必要と思われる。
(土木/29歳以下)
契約工期が4週8閉所を見込んでいるとは思えない。
(建築/35~39歳)
価格競争のなかで、4週8閉所を条件に工期を定めて受注することは難しい。発注者の積極的な取り組みが無ければ実現はしない。
(建築/45~49歳)

労務単価に関する不満

技能労働者の給与体系が日給月給制である限りは実現できないと考える。給与体系の見直し、単価改定が実現し生活基盤が整えば実現できる可能性がある。
(建築/45~49歳)
技能労働者が月給制にならない限り、所得の関係で無理だと考える。
(土木/55~59歳)

週に2日休める体制を整えるため、業務効率化など受注者側で取り組めることもありますが、工期設定や労務単価の改善は発注者側の理解も欠かせません。

日本建設業連合会は2023年度末までに4週8閉所を実現し、すべての現場で週休2日を定着させるという目標を掲げていますが、2021年度の結果を見る限りでは未達に終わる見込み。すべての現場の働き方を改善するには、国が工期設定の基準を明確化するなど、業界全体として動きを加速させることが求められるでしょう。

(セコカンプラス編集部)

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