主要プラントエンジニアリング企業が公表している2021年度の有価証券報告書をもとに、売上高ランキングを作成しました。
今回調査対象としたのは、プラントの企画・設計や建設・保守などを行う企業のうち、上場して2021年度の有価証券報告書を提出している企業10社です。
この記事のポイント
- 売上高トップは、川崎重工業
- 売上高がアップした企業は7社で、全体としては増加傾向
プラントエンジニアリング企業10社の売上高
まずは、プラントエンジニアリング企業10社の2021年度の売上高を一挙に紹介します。
各社の有価証券報告書をもとに作成。
2021年度は、前年度から売上高がアップした企業が7社と、全体的には好調でした。原材料価格や人件費の高騰といった事情があるなか、東洋エンジニアリングやオルガノのように、二ケタ台の増収を達成した企業もあります。
トップは川崎重工業で、2位は日立造船
2021年度のランキングトップは川崎重工業で、売上高は1兆5,009億円でした。2位は日立造船で、売上高は4,418億円。
両社ともに、売上高においてプラント以外の事業が占める割合の高さが特徴です。特に川崎重工業はプラント以外の売り上げが高いため、2位以下との売上高の差が大きく出ています。
なお、プラントエンジニアリング関連の事業に絞った場合の売上高は、川崎重工業が3,132億円で全体の約20%。日立造船は3,074億円で全体の約70%となっています。
3位はプラント御三家の日揮ホールディングス
売上高ランキング3位は、エンジニアリング御三家(※)の一角である日揮ホールディングスで、売上高は前年度比1.3%減の4,284億円でした。建設業の売り上げは完成物を引き渡したタイミングで計上されるのが原則のため、同社で進行中の長期大型案件が工事序盤で計上できなかったことも影響して、売上高は減少となっています。
また、資機材価格や輸送費などの上昇により、顧客との交渉が長期化。受注までに時間を要したことも、業績が振るわなかった要因となっています。
※業界大手3社の日揮ホールディングス、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの3社はエンジニアリング御三家といわれています。
プラントエンジニアリング企業各社の営業利益は?
売上高は全体的に増加傾向でしたが、営業利益も同じく好調なのでしょうか?
さきほどの売上高ランキングに営業利益を追加したものを見ていきましょう。
各社の有価証券報告書をもとに作成。
プラントエンジニアリング企業10社の営業利益をまとめたところ、前年度より増益となった企業は7社、減益となった企業は3社でした。
特に増減が大きかった企業について、個別に要因を見ていきましょう。
東洋エンジニアリングが、前年度比83.5%増
エンジニアリング御三家の一角である東洋エンジニアリングの営業利益は、前年度比83.5%増の30億円でした。完成工事高の増加や完成工事の総利益率の向上により、業績が上向いています。
同社のプラント事業は、石油化学製品の価格上昇を受けてプラントの需要が高まったことや、医薬系プラントを手堅く受注していることから、堅調に推移。海外での石油化学関連設備の受注も増えています。
千代田化工建設は、前年度比50.3%増
東洋エンジニアリングに次いで営業利益が伸びたのは、同じくエンジニアリング御三家である千代田化工建設。同社の営業利益は、前年度比50.3%増の105億円でした。
LNGプロジェクト関連で200億円を超える特別損失を計上しているものの、好調な受注が穴埋めして増益となっています。
同社は収益の安定化に向けて、成長分野と位置づけている「再生可能エネルギー」「水素」「炭素循環」「エネルギーマネジメント」「ライフサイエンス」などの新規事業を強化中。海外でのLNGプラントの設計・調達・建設をはじめ、医薬品製造工場の設計・調達・建設、世界最大級の蓄電池システム建設などが進行しています。
最も減少率が高かったのは、メタウォーター
10社のなかで最も営業利益が減少していたのはメタウォーターで、営業利益は81億円。前年度から25.0%の減益となりました。
同社は2021年度の受注高・売上高こそ好調だったものの、前年度に計上していた株式売却などの一過的な利益が今年度は無くなったことや、連結子会社に約10億円の増資して費用を計上したことによって、営業利益が落ち込む結果となりました。
プラント各社の年収はいくら?
(セコカンプラス編集部)