大手ゼネコンの年収は10年で189万円増加!特に増えた企業は?

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世間では「物価は上がっているのに給料は変わらない」といった声を耳にすることもありますが、ゼネコンで働く従業員の年収も世間の声と同じく変わっていないのでしょうか。

大手ゼネコン19社(※)を対象に直近10年間の平均年収を調査し、増加額が多いゼネコンランキングを作成しました。この記事では、10年間で特に年収が増えたゼネコンがどこかと、各社の年収が10年間でどのように変動したのかを紹介しています。

※2012~2021年度の有価証券報告書を確認できたゼネコンを調査対象としています。

年収の増加額ランキング

まずは、ゼネコン19社の平均年収が直近の10年間でどのくらい増えたのかをランキング形式で一挙にご紹介します。

 

10年間でどのくらい増えた?年収の増加額が多いゼネコンランキング 1位 淺沼組:2021年度 847万円、2012年度 554万円、増加額 293万円/2位 三井住友建設:2021年度 863万円、2012年度 606万円、増加額 257万円/3位 熊谷組:2021年度 841万円、2012年度 587万円、増加額 254万円/4位 鹿島建設:2021年度 1,128万円、2012年度 875万円、増加額 253万円/5位 福田組:2021年度 806万円、2012年度 574万円、増加額 231万円/6位 大豊建設:2021年度 799万円、2012年度 570万円、増加額 230万円/7位 東亜建設工業:2021年度 937万円、2012年度 708万円、増加額 228万円/8位 戸田建設:2021年度 877万円、2012年度 657万円、増加額 220万円/9位 奥村組:2021年度 919万円、2012年度 700万円、増加額 218万円/10位 東洋建設:2021年度 831万円、2012年度 643万円、増加額 189万円/11位 西松建設:2021年度 835万円、2012年度 656万円、増加額 180万円/12位 飛島建設:2021年度 823万円、2012年度 644万円、増加額 179万円/13位 長谷工コーポレーション:2021年度 910万円、2012年度 737万円、増加額 173万円/14位 大林組:2021年度 1,025万円、2012年度 885万円、増加額 140万円/15位 五洋建設:2021年度 861万円、2012年度 726万円、増加額 134万円/16位 竹中工務店:2021年度 990万円、2012年度 857万円、増加額 133万円/17位 清水建設:2021年度 978万円、2012年度 860万円、増加額 118万円/18位 大成建設:2021年度 964万円、2012年度 870万円、増加額 93万円/19位 東急建設:2021年度 733万円、2012年度 659万円、増加額 73万円/平均:2021年度 893万円、2012年度 704万円、増加額 189万円

各社の2012~2021年度の有価証券報告書をもとに作成。2013年発足の安藤ハザマは2012年度のデータがないため調査対象外としています。

最も年収が上がったのは淺沼組

ゼネコン19社のなかで、最も年収が上がったのは淺沼組です。2012年度の平均年収は554万円だったのに対し、2021年度は847万円で293万円増加しました。

2番目は三井住友建設で257万円のアップ。3番目は熊谷組で254万円のアップとなっています。

反対に、最も上がり幅が小さかったのは東急建設で増加額は73万円。なお、今回調査対象としたゼネコンのなかで、2012年度と比べて平均年収が下がった企業はありませんでした。

19社の平均増加額は189万円

ゼネコン19社の年収を集計したところ、2012年度と比べたときの平均増加額は189万円でした。

世間では「給料が上がらない」という声を耳にすることも少なくありませんが、今回調査した大手ゼネコンの平均年収(全従業員の平均)に限っていうと、着実に増加していることがわかります。

年収が上がった要因は?

ゼネコン各社の年収を引き上げた要因のひとつとして考えられるのが、建設業界の活況です。

今回調査対象とした大手ゼネコン19社の売上高を集計して年度ごとに合算したところ、10年間で2.6兆円増加しているという結果になりました。2012年度は19社の合計売上高が10.2兆円だったのに対し、2021年度は12.8兆円に拡大しています。

ゼネコン19社の売上高推移 2012年度 10.2兆円/2013年度 10.9兆円/2014年度 11.7兆円/2015年度 12.3兆円/2016年度 12.1兆円/2017年度 12.4兆円/2018年度 13.3兆円/2019年度 13.7兆円/2020年度 12.3兆円/2021年度 12.8兆円。ゼネコン19社の売上高は10年間で2.6兆円増加!

この10年間を振り返ってみると、東日本大震災後の復興需要や東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設ラッシュなどで、ゼネコン各社の受注が好調だったことが思い出されます。

こうした状況下で業績が伸びた企業では、特に年収が上がりやすかった可能性があると考えられるでしょう。

定期的なベースアップも年収増を後押し

さらに、ゼネコン各社では定期的にベースアップが実施されていることも、平均年収がアップした要因のひとつだと考えられます。

2022年の春季労使交渉では、日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)に加盟するゼネコン35社のうち、24社がベースアップを決定したとのこと。

2022年4月以降の工事では、賃上げを行った企業に対して入札時に加点が行われるようになったため、今後のさらなるベースアップにも期待がかかっています。

各社の年収推移の実態

ここからは、ゼネコン19社をスーパー・準大手・中堅の3つに区分(※)し、各社の平均年収が10年間でどう変動したのかを見ていきましょう。

各企業の区分は下記のとおりです。

スーパーゼネコン

鹿島建設・大林組・竹中工務店・清水建設・大成建設

準大手ゼネコン

長谷工コーポレーション・戸田建設・三井住友建設・五洋建設・熊谷組・西松建設

中堅ゼネコン

東亜建設工業・奥村組・淺沼組・東洋建設・飛島建設・福田組・大豊建設・東急建設

※2021年度の売上高が1兆円以上の企業をスーパーゼネコン、3,000億円以上の企業を準大手ゼネコン、3,000億円未満の企業を中堅ゼネコンに分類しています。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコン5社の年収推移 鹿島建設:2012年度 875万円、2013年度 877万円、2014年度 892万円、2015年度 893万円、2016年度 947万円、2017年度 1,103万円、2018年度 1,139万円、2019年度 1,134万円、2020年度 1,135万円、2021年度 1,128万円/大林組:2012年度 885万円、2013年度 890万円、2014年度 891万円、2015年度 915万円、2016年度 951万円、2017年度 1,046万円、2018年度 1,053万円、2019年度 1,058万円、2020年度 1,032万円、2021年度 1,025万円/竹中工務店:2012年度 857万円、2013年度 849万円、2014年度 866万円、2015年度 921万円、2016年度 957万円、2017年度 1,001万円、2018年度 1,029万円、2019年度 1,043万円、2020年度 1,007万円、2021年度 990万円/清水建設:2012年度 860万円、2013年度 874万円、2014年度 879万円、2015年度 907万円、2016年度 966万円、2017年度 967万円、2018年度 1,010万円、2019年度 1,007万円、2020年度 971万円、2021年度 978万円/大成建設:2012年度 870万円、2013年度 878万円、2014年度 891万円、2015年度 918万円、2016年度 950万円、2017年度 987万円、2018年度 1,051万円、2019年度 1,010万円、2020年度 985万円、2021年度 964万円

スーパーゼネコン5社の年収推移を見てみると、2016年度までは大きな差がありませんでしたが、その後は企業によってバラつきが出ていることがわかりました。

2017年度以降は、鹿島建設がトップを独走。5年連続で1,100万円を超えており、1,000万円前後を推移しているほかの4社と差をつけています。

準大手ゼネコン

準大手ゼネコン6社の年収推移 三井住友建設:2012年度 606万円、2013年度 624万円、2014年度 653万円、2015年度 708万円、2016年度 747万円、2017年度 810万円、2018年度 837万円、2019年度 859万円、2020年度 864万円、2021年度 863万円/熊谷組:2012年度 587万円、2013年度 613万円、2014年度 680万円、2015年度 762万円、2016年度 753万円、2017年度 793万円、2018年度 783万円、2019年度 804万円、2020年度 802万円、2021年度 841万円/戸田建設:2012年度 657万円、2013年度 662万円、2014年度 726万円、2015年度 783万円、2016年度 835万円、2017年度 844万円、2018年度 915万円、2019年度 907万円、2020年度 858万円、2021年度 877万円/西松建設:2012年度 656万円、2013年度 681万円、2014年度 721万円、2015年度 751万円、2016年度 773万円、2017年度 804万円、2018年度 836万円、2019年度 867万円、2020年度 866万円、2021年度 835万円/長谷工コーポレーション:2012年度 737万円、2013年度 757万円、2014年度 820万円、2015年度 843万円、2016年度 896万円、2017年度 905万円、2018年度 934万円、2019年度 939万円、2020年度 924万円、2021年度 910万円/五洋建設:2012年度 726万円、2013年度 723万円、2014年度 740万円、2015年度 760万円、2016年度 792万円、2017年度 837万円、2018年度 838万円、2019年度 876万円、2020年度 878万円、2021年度 861万円

準大手ゼネコン6社の年収推移を見てみると、全体としてなだらかな右肩上がりになっていることがわかりました。

10年連続で準大手ゼネコンのトップに君臨しているのは長谷工コーポレーション。2番目は戸田建設と五洋建設が年度によって入れ替わっている状況です。

中堅ゼネコン

中堅ゼネコン8社の年収推移 淺沼組:2012年度 554万円、2013年度 581万円、2014年度 677万円、2015年度 754万円、2016年度 754万円、2017年度 829万円、2018年度 865万円、2019年度 837万円、2020年度 831万円、2021年度 847万円/福田組:2012年度 574万円、2013年度 670万円、2014年度 797万円、2015年度 896万円、2016年度 950万円、2017年度 868万円、2018年度 842万円、2019年度 803万円、2020年度 845万円、2021年度 806万円/大豊建設:2012年度 570万円、2013年度 584万円、2014年度 622万円、2015年度 664万円、2016年度 714万円、2017年度 755万円、2018年度 770万円、2019年度 805万円、2020年度 804万円、2021年度 799万円/東亜建設工業:2012年度 708万円、2013年度 691万円、2014年度 706万円、2015年度 746万円、2016年度 814万円、2017年度 789万円、2018年度 836万円、2019年度 877万円、2020年度 913万円、2021年度 937万円/奥村組:2012年度 700万円、2013年度 762万円、2014年度 780万円、2015年度 811万円、2016年度 849万円、2017年度 946万円、2018年度 987万円、2019年度 953万円、2020年度 932万円、2021年度 919万円/東洋建設:2012年度 643万円、2013年度 669万円、2014年度 702万円、2015年度 744万円、2016年度 769万円、2017年度 777万円、2018年度 801万円、2019年度 789万円、2020年度 804万円、2021年度 831万円/飛島建設:2012年度 644万円、2013年度 664万円、2014年度 690万円、2015年度 727万円、2016年度 759万円、2017年度 777万円、2018年度 774万円、2019年度 795万円、2020年度 819万円、2021年度 823万円/東急建設:2012年度 659万円、2013年度 684万円、2014年度 735万円、2015年度 821万円、2016年度 910万円、2017年度 945万円、2018年度 936万円、2019年度 946万円、2020年度 860万円、2021年度 733万円

中堅ゼネコン8社の平均年収を見てみると、平均年収の変動にはバラつきがあり、乱高下している企業もあるのがわかります。

堅調に増加しているのは、ランキングでトップだった淺沼組に加え、東亜建設工業東洋建設飛島建設です。

東急建設の平均年収は一時900万円を超えたものの、2020年度以降は急落。福田組の平均年収は、2016年度のピークを境に減少傾向となっています。

スーパーゼネコンの年収はあまり上がっていない?

再び全体の年収増加額ランキングに目を向けると、スーパーゼネコンは平均年収こそ高いものの、増加額ではランキングの下位に集中していることが見てとれます。

鹿島建設は4位に位置していますが、大林組は14位で、竹中工務店・清水建設・大成建設は16~18位でした。

そこでスーパー・準大手・中堅の区分でそれぞれの平均増加額を調査したところ、最も年収が上がっていたのは中堅ゼネコンで、2番目は準大手ゼネコンという結果になりました。

スーパー・準大手・中堅ゼネコン 年収増加額の差は? スーパーゼネコン5社:2012年度 869万円、2013年度 874万円、2014年度 884万円、2015年度 911万円、2016年度 954万円、2017年度 1,021万円、2018年度 1,056万円、2019年度 1,050万円、2020年度 1,026万円、2021年度 1,017万円/準大手ゼネコン6社:2012年度 662万円、2013年度 677万円、2014年度 723万円、2015年度 768万円、2016年度 799万円、2017年度 832万円、2018年度 857万円、2019年度 875万円、2020年度 865万円、2021年度 864万円/中堅ゼネコン8社:2012年度 632万円、2013年度 663万円、2014年度 714万円、2015年度 770万円、2016年度 815万円、2017年度 836万円、2018年度 851万円、2019年度 851万円、2020年度 851万円、2021年度 837万円/スーパーゼネコン 147万円増、準大手 203万円増、中堅 205万円増

スーパーゼネコンの増加額は、中堅・準大手ゼネコンと比べて50万円以上少ない147万円となっています。

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(セコカンプラス編集部)

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