人口減少が課題視されている建設業。施工管理はもとより、職人の人手不足を現場で感じている人もいるかと思います。
では実際、建設業の人口はどのくらい減っているのでしょうか? この記事では総務省統計局の労働力調査をもとに、建設業で雇用されている人(雇用者)の減少の実態を紹介します。
建設業の人口は、前年から9万人減
総務省統計局の労働力調査によると、2021年度の建設業の雇用者数は393万人。2020年度と比べて約9万人減少していることがわかりました。
なお同年の調査では、調査対象となった19産業(分類不能の産業を除く)のうち、前年より雇用者が減少していた産業は5つ。建設業は、コロナ禍の打撃を受けた「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」に続いて雇用者数の減少が大きい産業となっています。
参考:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果」
過去15年間のデータを見ると…
建設業の雇用者数は過去15年間で約56万人減少していることが明らかになりました。直近の2年間だけでも、約16万人減少している状況です。
参考:総務省統計局「労働力調査 基本集計 全都道府県(e-Stat)」
2017年度と2018年度の雇用者数はわずかに増加していますが、これはオリンピックにともなう建設ラッシュの影響により、業界各社の採用が活発になったことが関係していると考えられます。なお2020年度以降の雇用者数は、ふたたび減少に転じる結果となりました。
過去15年間の推移を、全産業と比べると…
2007年度の雇用者数を100%として15年間の推移を調べると、建設業は2021年度時点で約88%まで減少していることが明らかになりました。
一方で、全産業の雇用者数は2007年度比で108%に増加。全体としては雇用者数が増えているなか、建設業は人口減少をたどっていることが浮き彫りとなりました。
参考:総務省統計局「労働力調査 基本集計 全都道府県(e-Stat)」
年代ごとに、減少の傾向は違う?
雇用者数が減少しつつある建設業ですが「30代後半が少ない」といった年代別の特徴に関する声も聞こえてきます。では、実際に特定の年代だけ少ないといった傾向はあるのでしょうか?
2007年度の各年代の雇用者数を100%として15年間の推移を調べると、最も減少していたのは30代で、2021年度の時点で55%まで減少していました。次いで10代と50代が75%、20代が77%まで減少しています。
参考:総務省統計局「労働力調査 基本集計 全都道府県(e-Stat)」
雇用者が大きく減少した年代がある一方で、40代と60代以上は、2007年度比で100%以上に増加。雇用者数が増加した年代と減少した年代が二分される結果となりました。
なお、20代と50代の雇用者数は、2016年頃から緩やかに増加傾向にあります。20代が継続して増えることで、建設業の人口減少に歯止めがかかるのか……これからの動向に期待が持たれます。
(公開:2022年7月27日/最終更新:2022年12月22日)
(セコカンプラス編集部)