常駐は必要?主任技術者の専任・兼任の条件をかんたん解説

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通常、一定の条件を満たす工事(※)において、専任で配置することが義務付けられている主任技術者。ですが、条件を満たすことで複数現場の兼任が可能なケースがあります。

この記事では、主任技術者が複数の現場を兼任可能になる条件について、法令をかみ砕いて解説します。

※公共性のある工作物に関する重要な工事かつ、工事請負代金額が4,000万円(建築一式工事である場合は8,000万円)以上の工事

複数現場を兼任するための条件は?

主任技術者の兼任が認められるには、2つの条件を満たす必要があります。

兼務を予定している工事が…

  • 密接な関係のある建設工事である
  • 同一の建設業者が、同一の場所または近接した場所で施工する工事である

出典:e-Gov「建設業法施行令 第27条第2項

この条件さえ満たしていれば、原則2件程度の現場を1人の主任技術者が兼任できます

なお、そもそも主任技術者の専任が求められていない工事請負金額が4,000万円未満の非専任工事であれば、無条件で兼任可能です。

では次に、各条件のキーワードである密接な関係のある建設工事近接した場所について、くわしい内容を見ていきましょう。

「密接な関係のある建設工事」とは?

密接な関係のある建設工事とは、国土交通省によって次のいずれかに当てはまる工事と定義されています。

兼務を予定している工事間で…

  • 工作物に一体性または連続性が認められる
  • 施工にあたり相互に調整を要する

1つ目の一体性または連続性が認められる工事とは、主に工事現場の位置関係を指しています。連続する河川・道路における工事や、同一区画整地内での工事、同時に複数個所で交通規制を行う工事が該当するとされています。

「工作物に一体性または連続性が認められる工事」の一例 交差するA地区舗装工事とA地区市道格幅工事 連続する道路の工事なので、2つの工事現場間の間隔が、10km程度以内であれば、1人の主任技術者が兼任可能

2つ目の相互に調整を要する工事は、資材の調達を一括で行う工事や、同一の下請業者で施工する工事などが該当するとされています。

「相互に調整を要する工事(※)」の一例 ※相当の部分の工事を同一の下請け業者で施工し、相互に工程調整を要するもの。または、2つの現場の資材を一括で調達し、相互に工程調整を要するもの。 A地区築堤工事とB地区防災公園整備工事 ポイント1 工事用道路を共有しており、相互に工程調整を要する。 ポイント2 防災公園整備工事の発生土を盛土材に使用しており、相互に土壌分配計画の調整を要する。 ポイント1・2のように、相互に工程調整を要する工事で2つの工事現場間の間隔が10km程度以内であれば、1人の主任技術者が兼任可能

「近接した場所」とは?

国土交通省の定義では、近接した場所=工事現場の相互の間隔が10km程度とされています。たとえ密接な関係にある工事でも、現場間の距離が離れている場合は兼任が認められないので注意してください。

なお、発注者によっては、間隔が10kmより狭いケースもあります。兼任を認めるかどうかは発注者にゆだねられているため、くわしくは契約書などを確認しましょう。

条件を満たしても、兼任できないケースも

前述の条件を満たしていても、主任技術者の兼任を認めるかどうかの最終判断は、発注者にゆだねられています。入札の公告書や契約書で細かな条件が追加される場合もあるため、よく確認しましょう。

発注者が定めた、兼任NGの例

  • 別の企業・自治体が発注した工事と兼任しようとしている場合
  • 施工実績や担当技術者の技術力が、基準を満たしていない場合 ……など

なお、兼任を希望する場合は、工事の受注後に発注者へ申請を行う必要があります。手続き漏れが無いように、あらかじめ契約書などを確認しておきましょう。

専任工事でも、現場に常駐する必要はない

専任の主任技術者が必要な工事であっても、必ずしも現場に常駐する必要はありません

よく誤解されがちですが、専任=常駐という意味ではないためです。

国土交通省の「監理技術者制度運用マニュアル」によると、専任とは、あくまで他の現場を担当していない状態のことを指しており、必ずしも現場への常駐を必要とするものではないと定義されています。

専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していること意味するものであり、必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場に滞在していること)を必要とするものではない。

出典:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル(PDF)

たとえば、休暇をとるときや会社の研修に参加するときなどは、合理的な事情があるとみなされ、主任技術者が現場を離れることも可能です。こうした事情で常駐できないことを理由に兼任の申請をする必要はないので、安心してください。

(公開:2021年7月27日/最終更新:2023年1月18日)

(セコカンプラス編集部)

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