世間的にも、残業が多い仕事だと言われている施工管理。実際、他の職業と比べてどれくらい多く残業しているのでしょうか?
この記事では、現役施工管理1,492名へのアンケートをもとに、残業の実態をまとめました。
アンケートの概要
求人サイト『建設・設備求人データベース』の登録者にアンケートを送信し、現役の施工管理1,492名が回答した。
調査期間:2020年3月4日~3月11日
施工管理は、会社員の3倍残業している
参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査(令和2年10月分)」、セコカンプラスアンケートより
セコカンプラス調べでは、施工管理の平均残業時間は月38.5時間。会社員全体の平均残業時間(月13.0時間・厚生労働省調べ)と比べると、施工管理は世間の3倍近く残業していることがわかりました。
施工管理の10%は「過労死ライン」超え
残業時間を長さごとに集計した結果、月80時間以上残業をしている人が、全体の10%もいることが判明しました。「このくらいの残業は普通」と感じる人もいるかもしれませんが、月80時間の残業は、一般的に病気や自殺に至るリスクが高まると定義されている過労死ラインを超えています。
過労死ラインを超えている人の中には、繁忙期などのタイミングで月200時間以上残業している人もいることも分かりました。
また、施工管理の平均残業時間である38.5時間を超えている人も、全体の半分近くを占めています。残業時間が月20時間を下回る人が一定数いる一方で、工期が短い現場を担当していたり、多くの業務を抱えていたりする人は、40時間以上の残業を強いられているよう。一口に施工管理といっても、残業時間は個々人によってばらつきがあると分かります。
業務量の偏りに悩んでいる施工管理の声
職員の多い現場はある程度の休みを取れるが、そうでない現場は残業が半端ない。もちろん働き方改革のおかげで残業時間の報告は忖度している。
(ゼネコン勤務/43歳/繁忙期平均で月60時間残業)
労働時間が長い。特に工期末や検査直前は休日出勤が常となる。
(ゼネコン勤務/35歳/繁忙期平均で月150時間残業)
残業時間は減らせるのか?
施工管理の残業時間が極端に多くなる理由として、4つの原因が考えられます。
- 残業前提の働き方になっている(残業時間の上限を超えても、罰則がないため)
- 工期を伸ばせない(顧客の要望を叶えるために、残業で対応する)
- 人手不足(一人あたりの作業量が多く、残業せざるをえない)
- 企業・業界の体質(早く帰りにくい空気や、生活残業をする空気がある)
これらの原因は、どれも個人の努力や業務効率化だけでは改善しにくいものばかり。企業側の取り組みに期待するしかありません。
そんな中で注目されているのが、働き方改革です。長時間労働の是正のため、2024年からは建設業界でも時間外労働の上限(月45時間/年360時間、例外あり)が設定されることになりました。制度のスタートに向けて、大手企業を筆頭に残業削減の動きが始まっているようです。
実際どうなのか?現場の声を聞いてみた
実際の現場はどうなのか? 施工管理の声を一部ご紹介します。
施工管理の声
担当案件により残業時間と休日が大きく変わる。会社としては近年働き方改革を推進し、業務効率を上げる環境整備により徐々に労務環境の改善がみられる。
(サブコン勤務/34歳/月30時間残業)
表向きは、担当物件により休日等を調整することになるが、大小複数の案件を掛け持ちしているため、帰宅時間が遅く休日も取れていない。大変不満である。体のあちこちが痛い。
(建築・土木系専門工事会社勤務/55歳/月80時間残業)
閑散期と繁忙期の差が大きい。客先都合に合わせて働くことが多いので休みが不定期。自分より若い層がいないので、先が心配。
(サブコン勤務/31歳/月50時間残業)
残業手当がないので早く退社したいが、残業=正義という風習があるのでなかなか帰れない。
(建築・土木系専門工事会社勤務/28歳/月60時間残業)
施工管理の声を聞くと、働き方改革によって残業が改善されつつある現場もあれば、逆に残業体質が根強く残っている職場もある様子。長時間残業の解消には、まだ時間が必要なのかもしれません。
(セコカンプラス編集部)