現場代理人に関する規定のなかには、複雑で理解が難しいものも少なくありません。この記事では、工事請負人の代理として工事現場の運営や取締りを行う現場代理人を選出するときに知っておきたい、必要な資格や常駐義務、兼務の可否などの規定をわかりやすく解説していきます。
現場代理人には資格が必要?
法律では現場代理人に関する規定がないため、特別な資格がなくても現場代理人を務めることが可能。基本的には、工事の元請け会社との直接的な雇用関係が3ヶ月以上ある人なら誰でも務めることができます。
例えば、横浜市ではつぎのように定められています。
現場代理人については、落札候補(予定)者通知書の送付日において、直接的かつ恒常的な雇用関係にあり、かつ、当該雇用期間が3か月間を経過していることを入札参加資格としています。
出典:横浜市「工事の相談に関するQ&A」
ただし、具体的な要件は発注者によって異なるため、必ずしも直接的な雇用関係を求めないところや、雇用期間が3ヶ月未満でもかまわないとしているところもあります。
このように規定上は資格が不要ですが、実際は現場代理人が主任技術者や監理技術者を兼ねるケースも多く、結果的に施工管理技士の有資格者が配置されているのが一般的です。
主任技術者と監理技術者の要件についてくわしく解説
現場代理人は現場に常駐させなければならない?
現場代理人は、特別な事情がない限り現場に常駐するのが基本です。しかし、現場の規模や常駐できない理由などが発注者の定める条件を満たしていれば、発注者と連絡が取れる体制であることを前提に現場を離れられるケースもあります。
細かな条件は発注者によって異なるものの、契約額が4,000万円未満(建築一式工事の場合は8,000万円未満)であれば常駐義務が緩和されるのが一般的。現場を離れることができる理由や期間、連絡の手段などの詳細は各発注者の規定を確認してください。
現場代理人は複数の現場を兼務できる?
現場代理人は、それぞれの工事の規模と工事現場間の距離が発注者の定める条件を満たす場合、複数の現場を兼務できます。
細かな条件は発注者によって異なりますが、契約額が4,000万円未満(建築一式工事の場合は8,000万円未満)なら2~3件の兼務が認められるケースが基本。なお、どのような条件でも兼務が発生する場合は発注者の許可が必要です。
現場代理人は工事の途中で変更できる?
現場代理人は、退職・病気・死亡といったやむを得ない事情がない限り、途中で変更することはできないのが基本です。
ただし、発注者によっては工事が長期間にわたる場合や工期が大幅に延長した場合などで交代を認めているところもあります。くわしくは、発注者の取り決めを確認してください。
(セコカンプラス編集部)