有給休暇の使用は労働者の権利ですが、建設業では使いにくいという声も聞こえてきます。
実際、ほかの業界と比べてどうなのでしょうか? この記事では、有給休暇の取得率(付与された有給休暇のうち、何日取得していたか)をまとめました。
建設業の有給取得率は、約53%
2021年に公表された厚生労働省の就労条件総合調査によると、建設業の有給休暇取得率は53.2%で、付与された有給のうち半分は取得できていることがわかりました。内勤系職種の人も含んだデータであるため、施工管理の視点だと取得率がやや高めに見えるかもしれません。
一方、主要16産業の中で建設業の取得率は11位にあたり、低めの部類に入っていることがわかります。
出典:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査」
なお、有給休暇の取得率が最も高かったのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で73.3%。最も取得率が低かった「宿泊業、飲食サービス業」は45.0%で、最も高い産業とは28.3ポイントの差があります。
建設業と取得率が近いのは「運輸業、郵便業」「生活関連サービス業、娯楽業」など、接客・サービスに関わる産業のようです。
取得率は、過去7年で改善傾向だが…
有給休暇の取得率が低い部類に入る建設業ですが、2015年~2021年の7年間では改善傾向にあります。
2015年~2021年の取得率の推移を見ると、2015年が38.1%だったのに対し、2021年度は53.2%にまで改善。この7年間で15.1ポイント改善していることがわかりました。
出典:厚生労働省「就労条件総合調査(2015年~2021年)」データより作成
取得率の改善が始まったのは2019年頃。ちょうど働き方改革の一環として有給休暇取得の義務化がスタートした年と一致します。
とはいえ、有給休暇の取得日数の少なさには課題が残っている状況。日建協の時短アンケート(2020年)によると、建設業の年間有給休暇取得日数は全産業より9日ほど少ないことがわかっており、取得しやすいとは言いにくいようです。
建設業でも時間外労働の上限規制が見直される2024年に向けて、働き方の改善は進んでいく見通し。改善の内容のひとつに適正な工期設定も掲げられており、有給休暇を取得しやすい環境の整備に期待が持たれます。
(セコカンプラス編集部)