各社が公表している2020年度の有価証券報告書をもとに、プラント業界の2020年度平均年収ランキングを作成しました。
今回調査対象としたのは、プラントの企画・設計や建設・保守などを行う企業のうち、上場して有価証券報告書を提出している企業11社(※)です。
※子会社がプラント関連事業を担っている企業は対象外としています。
プラント業界11社の平均年収ランキング
有価証券報告書によると、プラント業界11社の平均年収は、900万円台が1社、800万円台が3社、700万円台が4社、600万円台が3社という結果になりました。
各社の有価証券報告書をもとに作成
トップは千代田化工建設で920万円
今回平均年収額トップとなったのは、エンジニアリング御三家(※)の一角である千代田化工建設です。
平均年収は920万円で、前年から25.1万円のアップ。11社のなかでは唯一の900万円台で、前年からの増加金額も最も高くなっています。
千代田化工建設は、2018年度に海外の液化天然ガス(LNG)プラント建設工事で巨額損失を計上した影響で、現在も経営再建の真っ只中。
ですが安定した受注と利益の積み上げで既に黒字転換しており、2021年度は売上高が前年度から4.9%減の3,000億円、営業利益は同56.8%増の110億円に着地する見通しです。
※業界大手3社の日揮ホールディングス、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの3社はエンジニアリング御三家と言われています。
2位は栗田工業で894万円
2位にランクインしたのは水処理プラントに強みを持つ栗田工業で、平均年収は894万円となりました。
栗田工業の2021年度業績は、売上高が前年度比8.7%増の2,910億円、営業利益が同7.8%増の340億円となる予想。半導体需要の高まりによる水処理プラントのニーズ増が、この先の業績を支えると見込まれています。
東洋エンジは100万円以上ダウン
11社のなかでひときわ平均年収が減少したのは、10位の東洋エンジニアリングです。
平均年収は685万円で、前年度と比べて112.9万円のダウン。前年度は800万円近い金額だったものの、2020年度は700万円を割り込む結果となりました。
東洋エンジニアリングは米国のエチレンプラントでの損失や新型コロナウイルスなどの影響を受け、4年連続で売上高が減少。2016年度は4,319億円を売り上げていましたが、2020年度の売上高は1,840億円と半分以下に落ち込みました。
現在は経営再建が進みつつあり、2021年度の業績予想は売上高が前年度比30.4%増の2,400億円、営業利益が同54.7%増の250億円と、上向きに転じる見通しとなっています。
(セコカンプラス編集部)